●自立的発展」に資する開発計画だったのか?
冒頭、「奄美群島と小笠原諸島に対して、特措法で行ってきた『振興開発事業』を、政府として、どのように評価しているのか?」との基本的な問い。
金子恭之国交副大臣からは、「法に基づき、自立的発展、住民生活の安定等を目的として、社会資本整備や産業振興策を積極的に行ってきた。この結果、両地域ともに生活基盤や産業インフラ整備が進み、島民からも評価を得ている。」と、何ともスカタンな、紋切り型の官僚答弁…。
三日月議員からは、「例えば、国費は、S29以降奄美に1兆3,500億円、S44以降小笠原に823億円を投入。結果、人口の増減は?所得・物価水準等はどう変化しているのか?それらを振興開発事業と関連付けて、政府として、どのように評価しているのか?」と、さらに厳しく問う。加藤局長は、「各指標については点検している。これからの5カ年計画では、さらに検証しやすい枠組みに切り換える。目標数字も設定する。」との答弁。
奄美群島と小笠原諸島の振興開発促進のための特別措置法に基づき設置される審議会では、「定期的評価を行うことを目的としたフォローのための仕組みが必要」との意見具申も出されている。それを引き合いに、事業の進捗だけを管理するだけでなく、事業の効果の定期的かつ客観的な評価・検証こそ必要!との観点から、これからの評価の仕組みについて、再度、方針を質した。
局長からは、「評価については、いろいろと調査をやってきた。今後は、地元住民を含めて、関係者に理解が得られ易い仕組みに変える。基本方針を策定するにあたっては、関係自治体や住民の意向を伺い、可能な限り、計画の中にも盛り込んでいく。」との回答。
さらに、「法律の目的となっている『自立的発展』とは、どういう状態を指すのか?」というそもそもの問いも重ねる。「地域の特性に応じ、自力で持続可能な発展が図れるよう、社会インフラなど基礎的条件を整備するのが法の目的。様々な支援措置を活用しながら、事業を行いながら、自立的発展のための最低限の目標を定め、その事業成果が上がるよう取り組むことが重要。」との局長答弁。
金子一義国交大臣からも、「事業の成果として、自立的発展につながっているか否かを、検証する仕組みは必要。農業などの地場産業がどのように伸びたか、等、検証出来るようにしたい。」との明言を引き出した。
●地域文化の振興を!交通には「特別の配慮」を!
小笠原諸島の特措法の条文に、「地域文化の振興」規定がないことを問題視。「人が住んでいた期間が奄美と小笠原では違い、結果として、小笠原には文化の位置づけが規定されていない。」と答弁されるが、国土形成計画の中には、奄美群島も小笠原諸島も、『それぞれ本土から隔絶した条件の中で培ってきた多様で個性的な文化を発し…』とあることを引きながら、三日月議員は、「それぞれの島々に固有の文化がある。それらが守られるよう、法律に明記すべき!」と提案。
最後に、交通に対する「特別な配慮」についても確認。船舶も、航空機も、航路・路線の維持だけでなく、観光や交流、島内物価を通じて生活にも影響する「運賃」について、その軽減のために「特別な配慮」を行うよう強く求め、質問を終えた。
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