●より良い法制度をつくるために…
まず、法案は目指すべき姿・方向には賛意。その上で、(1)既存住宅の改修・保全、(2)住宅性能表示制度との関係、(3)木造住宅の振興・国産材の活用促進、(4)中小工務店・大工の支援、(5)人材育成、(6)街並み・景観への配慮、(7)住宅履歴、7つの着眼点で法案を検討し、6項目から成る修正案を提出したことを表明。
はじめに、改正建築士法の施行に向けた準備状況を確認。特に「設備設計一級建築士」の不足や地域偏在について。住宅局長より、「昨年6月の反省から、団体や事務所に対し、徹底した個別の周知活動を行っている。人材も、法施行前のみなし講習等で確保中だが、地域や事務所規模による偏在には、不安が残る…。」との答弁。人材の不足と偏在を残したままの、関与義務化等の法施行には不安…。専門団体等との協議を求める。
●量から質の時代。「買って壊す」から、「建てて直して売る(貸す)」の住宅市場へ
続いて、日本の住宅市場の状況について確認。「30年」という、欧米に比して短寿命の住宅の原因を確認しながら、「長期優良住宅を普及させるために、税制や会計制度、保険制度も含めた総合的な検討と政策が必要では?」と提案。大臣からは、「建築技術が向上し、より耐久性のある住宅が建てられるようになったことにより、今回の長期住宅の議論になっている。」とし、税制や保険制度を含めた制度検討の必要性についても認められた。
さらに、「住宅の流通」という観点から質問。「欧米に比して、日本は、既存の中古住宅の流通量が伸びていない。流通を伸ばすための施策は?」との問いに、「日本は新築中心に慣れてしまっている。買う側は、既存住宅の性能が分からないから評価しない。売る側は、修繕・改修をしても市場で評価されない。この悪循環を解消しなければならない。既存住宅の品質に関する信頼性を高めることが大事。既存住宅の流通環境を整えるべく取り組んでいく。」との大臣答弁。
●消費者本位の制度に
「長期優良住宅を建てる、買う、持つことのメリット」を質し、単なるオーバースペックやコスト高、現場の混乱等を誘発することのないよう釘をさした後、「住宅性能表示制度と今回の長期優良住宅の認定制度との関係」を問い、「中立的・客観的に等級で示される住宅性能表示制度と、一定程度以上の住宅を評価する長期優良住宅の認定制度を、消費者等にも分かり易くリンクさせること」を求めた。
続けて、「長期優良住宅との観点からは、まちづくり政策や都市計画制度との連動が欠かせない。法案ではどう定めるのか?」との質問に、大臣は、「良好な居住環境の確保に資するよう地区計画、景観計画、建築協定などとの調和に配慮することは重要。法制定後、『基本方針』に定め、それに基づき『認定基準』を定める。」と、提案に賛意。
最後に、住宅履歴について。「履歴の保存を義務付けることは良いこと。大手ハウスメーカーと異なり、ノウハウやシステムが不足する、中小の工務店では保存・管理が難しい。公的サポートの必要性があるのでは?」と質す。国交省もその必要性を認め、「大手のみならず中小工務店でも使えるような『住宅履歴情報システム』を開発し、しっかり対応する。」との答弁を得て、質問を終えた。
質疑終了後に、三日月議員が中心となってまとめ、与野党の合意が得られた法案の「修正案」を読み上げ、全会一致で可決。民主党の主張が、修正案と付帯決議にすべて盛り込まれるという、大きな成果を勝ち取ることができた。
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