●三日月議員の質問
「これまでの日本銀行の金融政策への評価を踏まえて、かつ、当面する、直面するリスクを考慮して、これからの金融行政は如何にあるべきとお考えか?
具体的に、特に、池尾先生は、政策の『副作用』について十分考慮すべきだ、ということを2002年3月の新聞でも表明されていらっしゃる。@この間、日銀の長期にわたる超低金利政策は300兆円もの利子所得を奪い、これが高齢者世帯に打撃を与えたという副作用もあるのではないか。A毎月1.2兆円もの長期国債の買い入れを継続してきたことが、財政規律を緩め、歪めてしまった面もあるのではないか。B異例の量的緩和政策が、市場にあふれる資金を生み出して、これが逆にサブプライムローンだとかの投機マネーの原資となってしまった側面もあるのではないか。
このような日銀の金融政策への評価を踏まえて、特に、(利下げする)米国、(利上げする)欧州の、各中央銀行と戦略が異なっている現下において、また、原油・食料価格が高騰している状況下において、日銀がとるべき金融政策をどのようにお考えか?
●池尾参考人の答弁
現在の経済局面が極めて難しい状況であるということは私も強く認識している。また、90年以降、長期間にわたって極めて難しい局面が続いてきた。その中で、すべてを満足させるような経済政策は不可能に近かったと思う。その意味で、過去の金融政策に一切副作用がなかったなどということはない。ある種の好ましくない効果(副作用)を部分的に伴っていた面はあると認識している。
しかし、90年代、企業部門が設備・雇用・負債の「3つの過剰」を抱えていた。例えば、過剰設備を抱えているときに、さらに投資をしようという企業はない。こういう状況では、経済は需要不足に陥る。その時、経済の、景気の底割れを防ぐためには、どうしても低金利政策はとらざるを得なかった。この政策が引き起こした分配上の問題については、別途政策的な手当を行う、ポリシーミックスで対応する、ということが望ましい状態だったと思う。
(一部、事務所で加筆修正)
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