●総理は「一般財源化」、政府・与党は特定財源の法案…。方針はどっち?
冒頭、期限切れとなり、値下げ(減税)
となった「揮発油税等の暫定税率廃止」に触れ、予見出来たガソリンスタンド支援対策を講じず、責任を民主党に転嫁し、混乱
を増幅させようとする政府・与党の無責任さ追及。
三日月議員は、 「衆議院での再議決による暫定税率の引上げ(=増税)を行う前に、@一般財源化の方針を明確に示すべき、A最新のデータに基づいて道路計画を作り直し、法案も出し直すべき」と主張し、政府見解を質す。
官房長官からは、「(前略)税制の抜本
改革の中で一般財源化が決まった段階で閣議決定し、法案化されるのではないかと考えている…(後略)」(総理方針なのに、まだ決まって
いないのか?)との答弁。
国交大臣からは、「中期計画の素案は、真に必要な道路整備の姿を示すため、政策課題ごとに対応を要する箇所を洗い出し、今後10年間で重点的に対策を講ずる箇所数に限って計画の内容としたもの。(総理提案については、)国民生活や地方の行財政に混乱を及ばさないことが必要との強い思い
から、見直すべきは見直すとの決意のもと、与野党間の議論を前進させるために行ったものと理解している。」(総理方針って議論のためだけ?)との回答。
政府・与党の定まらぬ方針が改めて明らかになった。
●観光立国推進法の理念を活かして
法案の中身に入り、まず、「観光庁」設置についての質問。「『観光』は、歴史、
文化、生活そのものであり、地域経済の発展にも寄与し得る、21世紀に可能性のある産業」と前置きし、自身も立案に
加わった「観光立国推進基本法」の理念を踏まえ、「@観光庁設置の意義と役割、
A国交省所管の公益法人『日本観光協会』と、都道府県との役割分担、B旅館業をはじめとした観光に関わる中小企業の経営
基盤確立のための施策の実施状況、
C観光需要の創出・拡大のための休暇
制度等の検討状況」の4点について、国の
取り組みと政府の見解を質す。
国交大臣からは、「@観光庁の設置に
より、国全体として、官民を挙げて観光立国の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進する体制を整備する。A日本観光
協会では、都道府県を含む会員の合意の
もと、都道府県単独事業になじまない全国的・広域的に効果が及ぶ事業を全国広域観光振興事業として実施している。日本
観光協会の事業費は、会員である各都道府県からの拠出金で賄われているが、事業内容や費用負担は、会員の議論を経て
決定されている。B観光客受け入れの中核をなす宿泊産業等の経営基盤強化は、
中小企業対策としても重要。中小企業金融公庫の融資等に加え、(別途法案提出中の)観光圏整備の中で宿泊施設の設備投資にも低利融資支援を行う。C労働者の年次有給休暇の取得率は、平成18年度46.6%と低下傾向…。昨年度は、国内旅行需要喚起のための休暇のあり方について、有識者や関係省庁と検討を行った。今年度は、民間
企業による休暇取得の先進事例の紹介や実証実験など、観光旅行の促進のための環境整備を行う。」等の答弁がなされた。
●より良い「運輸安全委員会」をつくるために…
「運輸安全委員会」の設置に関しては、■日本の事故調査・事故調査機関のあり方、■行政からの独立性、海難調査を統合することの意義等について確認し、民主党内でまとめた提案項目を丁寧に
説明し、政府案の修正を求めた。
修正すべき点として、「@独立性と中立性を担保するため、国交省所管から内閣府へと切り
離すべき。A調査範囲に特定の自動車事故を含めるべき。B事故の被害者・ご遺族・ご家族への情報提供等、公的支援を拡充すべき。C勧告機能を強化すべき。(従わなかった場合の公表と関係行政機関による措置を可能にすべき。)D未然防止機能を高めるべき。E法施行後、
5年後に全体的な見直しを行うべき。」の6点について提案。
国交大臣からは、「平穏な国民生活のためには、安全、安心の確保が最重要課題。事故の再発防止に向けた事故調査・原因究明機能の強化を図ることが極めて重要と認識している。」また、「独立性・中立性については、委員会設置法において、委員会の委員長及び委員は独立してその職務を行うこととされている。委員長及び委員の任命についても、両議院の同意を必要としている。委員会は、国交省に対しても事業者に対しても、独立した立場から、公正中立かつ的確に事故調査を実施するとともに、国交大臣に対し、勧告・建議を行ってきたと評価している。」さらに、「海難との統合は、陸海空に共通する事故要因である人的要素、気象、金属等の専門的知見を委員会内で共有し、有効活用可能となり、事故原因究明機能の高度化が図られる。」との説明。
民主党からの修正提案については、「これまでの国会審議や附帯決議、事故の実態等を踏まえ、
法律を提出している。三日月議員からの提案も、事故原因究明機能の強化を図るものと認識している。国会で十分な審議をお願いする。」との修正に前向きな答弁がなされた。
●四面環海の日本。海難調査・審判、船員労働への対応は欠かせない!
長い歴史を有する海難調査に「権利擁護」の観点からも重要な役割を果たしてきた「海事補佐人制度」について、「運輸安全委員会による海難の原因究明の段階で、どのように取り扱うのか?」また、
警察庁と交わされている『覚書』について、海上保安庁と運輸安全委員会との関係について、今後の
整理対応方針を確認した。
国交大臣は、「『海事補佐人制度』については、原因関係者の希望があれば、公開での意見聴取や補佐人の同席を認める。」との答弁。また、「覚書」に関しては、「警察の行う捜査と事故調が行う事故調査は、『覚書』に基づき、事故現場において支障なく行われている。運輸安全委員会の発足に際し、捜査と事故調査の円滑な実施のため、これまでの運用を踏まえ、警察庁と調整する。海保と
運輸安全委員会との関係についても、これまでの運用実績を踏まえ、調整が図られる。」との答弁。
さらに、イージス艦「あたご」と漁船との衝突事故後の調査状況や防衛大臣自らが関係者の事情聴取を行ったことについて、両大臣に政治的責任を含めた見解を問う。防衛大臣からは、「海保の捜査や
海難審判庁による調査が、公正中立に行われるべきことは当然。他方、わが国の平和と独立を守る
任に当たる防衛省において、事態を把握することは当然であり、文民統制の観点からも必要で
あった。」との答弁がなされた。
「船員労働委員会」の廃止についても質問。船員の労働や労使関係の「特殊性」の変化、船員の確保・育成との課題への影響等について確認。
最後に、今回の改正が、単なる数合わせの組織再編ではなく、★国際平和とわが国の発展に貢献する観光政策の充実、★多くの人とモノを運ぶ公共交通の安全確立、★四面環海のわが国の海の安全、★船員の安定確保、に繋がるものとなるよう訴えて、代表質問を終えた。
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