民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となった「道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部を改正する法律案」について、反対討論を行う。
反対の理由を申し述べる前に一言、2月29日、政府・与党は、平成20年度予算案並びに予算関連法案、税制関連法案を強行採決して、不正常な形で参議院に送付した。経済財政運営の基本について、また道路特定財源の諸問題について審議が不十分であることは、誰の目にも明らかだ。徹底審議を明記した衆参両院議長のあっせんは、与党の強行採決によって完全に反故にされた。
関連して、当委員会における法案審議も未だ不十分なままだ。2月27日に、参考人質疑が行われているが、政府案に厳しい意見を述べられる方もいらっしゃった。両院議長あっせんを忠実に履行するなら、政府は、予算委員会等で次々と露呈した矛盾やムダづかい、問題点を検証し、改めるとともに、参考人の意見を十分精査し、法案の見直し修正に着手すべきだったのではないか。
反対の第一の理由は、本法律案が、54年も前につくられた道路特定財源維持に固執をし、民主党が主張し、国民の多くが支持する一般財源化に反するものだからだ。
この法律案は、政府・与党の公約に違反するものだ。小泉、安倍政権は一貫して、道路の建設にしか使えない道路特定財源は、自由に使い道を決められる一般財源に変えることを前提に見直しを行うと公約してきた。
公明党は、昨年の参院選挙で、「自動車重量税は、暫定税率の引き下げにより納税者に還元することや、その使途のあり方を検討することなど、見直します」と公約している。それなのに、特定財源制度も暫定税率も、10年間も維持される…。有権者・国民を欺くものだと言わざるを得ない。特定財源制度は、1954年に創設された。当時は、戦後復興の途上で道路の整備が非常に遅れていた。しかし時代は変わった。財政も厳しい折、道路整備のみに特定された財源をただただ惰性で維持されることは、社会のニーズに対応するものではない。
民主党は、この道路特定財源改革を、国と地方の関係、税の集め方と使い方、社会インフラ整備のバランス、すべてを根本的に見直す一つの社会変革だと位置付けている。一部の政治家が力やカネで道路整備を行い得る政治システムの変革、現下の原油高騰の折、国交省道路局の財布から国民の財布にお金を戻す経済政策としても提案している。真の地方分権国家を目指し、政府・与党の無責任な三位一体の改革によって、財政難にあえぐ地方自治体が、自由に使い道を決められる一括交付金の創設を国民に約束している。社会経済の変化の観点からも、地方分権国家の樹立のためにも、道路特定財源は一般財源とし、地方が自由にその使い方を決められるようにすべきだ。
反対の第二の理由は、これまでの道路整備に関する評価があいまいなまま、また、コスト縮減の計画についても説明されないまま、ムダづかいの検証、是正が不十分なまま、10年間の特定財源制度を維持しようとしていること。特定財源の根拠として「納税者の理解」、「納税者の理解」と繰り返し答弁されたが、「納税者の理解」とは何? 道路特定財源といいながら、ぜいたくな旅行費に充てること? マッサージ機や野球用のユニフォームを買うこと? 複数法人の役員を兼務する天下りを容認したまま、随意契約を放置したまま、高い税率を維持することに「納税者の理解」は得られるのか? 高価で赤字、ガラガラの駐車場をつくること、ミュージカルを行うことに納税者の理解が得られるのか? ムダづかいの是正なき特定財源制度の維持は明らかに無責任だと言わざるを得ない。
反対の第三の理由は、今後の事業量を決定する「道路中期計画」が不透明、不明朗な点に満ちていること。59兆円を投入する計画の柱になっている1万4000キロの高速道路整備計画は、今から20年前に閣議決定した第四次全国総合開発計画と同一の水準だ。なぜ10年間の計画? なぜ人口の減少等が見積もられた最新の交通量調査や将来推計に基づく計画策定を行わないのか? 計画の見直しや修正が行われないまま、中期計画の箇所や単価についても説明が不十分なまま、古いデータを用い、交通量の推計や便益を都合よく見積もって作った計画を使途とする特定財源制度をこのまま認める訳にはいかない。
以上、反対の理由を申し上げ、討論を終わる。
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