「地方公聴会」とは、特に重要な法律案について、各界の関係者等から広く意見聴取のために委員を派遣し、各地で開催されるもの。今回は、いわゆる「高速道路民営化法案」の審査のために行われたものであり、意見陳述者は次の4名。
・小野 善康〈大阪大学社会経済研究所教授〉
・目片 信〈大津市長〉
・高橋宗治郎〈滋賀県商工会議所連合会会長〉
・土居 靖範〈立命館大学経営学部教授〉
最初に、三日月議員は高速道路の料金のあり方について各意見陳述人に考えを質した。まず、「高速道路の受益者とは、高速道路利用者だけでなく、高速道路に運ばれるモノを利用・消費するすべての国民」という小野氏の視点に立ち、債務償還と新規建設を(利用者が払う)料金に求め続けることの矛盾を指摘した。
地元の目片氏と高橋氏には、高速道路網の整備が経済界に与える影響並びに期待するところについて意見を求めた。
民主党が先の総選挙でマニフェストに掲げた「高速道路無料化」についての各意見陳述人の考えは、以下の通り。
小野陳述人は、「無料化で更なる渋滞等の可能性が出てくる。課金はその抑止になる」と前置きしながらも、「通行料金という形での債務償還は、国民共有の財産という考え方と照らし合わせても公平性を欠く。税金での償還が効率性の観点からふさわしい。」とした。
目片陳述人は、湖西道路で昨秋行なった料金半額の社会実験をもとに、「料金が安くなり利用者は増えたが、全線開通に至っていないが故に、利用者の心理的な割高感がぬぐえない。湖西道路の先行無料化を・・・。」と主張された。
高橋陳述人は、「経済界にとっては、国際競争の観点からも物流の向上は急務である。現在『時間をお金で買っている』のが実情であり、「無料」は有難いが、債務償還・新規建設の面で不安だ・・・。」
三日月議員の質問時間は20分という限られた時間であったが、高速道路無料化に対する地元及び経済界などの期待の大きさが表れた。同時に、今後の長期的かつ大局的検討を望む声が強く出された。
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