●法改正の背景と経過を
最初に、法改正の背景となる「立法事実」を確認する。×少年犯罪の増加、×凶悪化、×低年齢化により
「少年非行は深刻な状況…」
と、法改正の提案理由は説明されている。報道の影響もあり、「体感治安」は
悪化している感もあるが、検挙人数による数値、少年は共犯率も高い…等、根拠となるデータの検証が十分
行われないまま「立法事実」が強調されることに疑問を呈する。恣意性を排除し、法改正の前提として、
少年犯罪の実態を背景要因分析とともに、把握すべきであることを、まず指摘する。
少年法改正の評価について、児童福祉を所掌する厚労大臣に問う。厚労大臣からは「今回の法改正で警察の調査権が明確になる。加害者の立ち直り支援のためにも、児童相談所と警察が連携を取り、調査できることはいいことである」、また、少年院への送致についても「児童自立支援施設よりも、規律がきちっとしている少年院の方が、心理的に安定感を得られるケースもある。様々なケースに応じた措置ができるという意味で、選択肢が広がったと評価している」との認識が示される。「児童の福祉」の観点から、保護や更生等に真に資する改正内容なのか?危惧は拭えない。
●関係機関との連携は大丈夫?教育的・福祉的配慮の欠如では?
さらに、厚労・法務省間の連携について確認。「児童自立支援施設のあり方について、厚労省は検討会を立ち上げて議論してきたが、今回の少年法改正にどのように反映されているのか?」との問いに、「検討に基づき施設の機能強化を図ったが、検討会の内容は、少年法の見直しに反映させていない。」との厚労大臣答弁。「法改正にあたっては、厚労省の検討会の内容を踏まえて立案した」との法務
大臣の委員会答弁と食い違う…。
「立ち直りや育て直しのための児童自立支援施設のあり方を検討していながら、時期もずれて法案には盛り込まれていない…。厚労省と法務省の連携が
取れていない証左だ!」と強く指摘し、再度答弁を求めた。「厚労省と法務省は、同じ目的に向かって、子どもたちの立ち直りのための行政を行っている。自立支援施設の見直しも、少年法の改正を『脇で見ながら』進めてきた。相互に連携することは前提…。」との厚労大臣の苦しい回答。「脇で見ながら」などという空々しい言訳答弁に、怒りを通り越して呆れる。検討会の報告書には「児童自立支援施設のあり方について、『子どもの利益の確保』や『子どもが抱えている問題性の改善・回復』」のための重要な改善点も多く示されているが、今回の少年法改正に盛り込まれていない点の不可解さ、連携のまずさが浮き彫りになった。
最後に、「教育」との関係について確認。「ぐ犯少年に関する調査で、情報提供を求められた場合の学校の対応について、警察への情報提供が安易に行われることにより、『教師・学校』と『生徒・保護者』との信頼関係を崩すことにつながる懸念があるが…」との質問に、「児童生徒の問題行動が深刻化している現状を憂慮している。教育的配慮を行いつつ、関係機関との間で必要な情報の共有化を図り、非行の未然防止や深刻化への対応、健全育成を図っていくことが重要な課題である。プライバシー保護にも当然配慮する」との文科省担当者から回答。三日月議員は「現場教師の判断に資するようなガイドラインや生徒指導の指針を、文科省として示すべきである」と提言。
民主党からは「修正案」の提出を予定している。充実した徹底審議を求めて、質問を終えた。
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