●地方税徴収の実態は?
三日月議員は、「各自治体の税務担当者の努力により、市町村税及び都道府県税ともに徴収率が改善している」と評価した上で、「不納欠損額が市町村税で1,500億円、都道府県税では700億円を超えている」と指摘し、政府の見解を質した。菅大臣からは「地方分権を進める上で、地方の自主財源である地方税の充実は大事。
滞納整理組合の広域化、市町村間の連携強化、滞納処分の実施等の努力により、収納率が向上した。総務省も地方交付税の算定に際し、徴税努力を反映する仕組みの導入やコンビニ収納の民間委託の推進を進めてきた」との答弁。
次に「普通徴収と特別徴収の実態把握」について質問。
「それぞれどの程度捕捉できているのか国としても調査すべき。派遣労働者や外国人労働者が増え、また高齢者世帯も増加している。税源移譲された後、深刻な影響がでるのでは?」と質す。
大臣からは「直接徴収に当たる職員は大変…。所得税の減免と引き替えに住民税が増え、世帯ごとの差し引きはゼロであるが、定率減税の廃止や控除の縮減も重なり、重税感も募る。納税者には地方分権を進める上で、一層の理解を求めていく努力をする」との答弁。
さらに「国民健康保険税を含めると地方税の徴収率はさらに厳しい状況になる。対策は?」と質問し、現状説明を求めるとともに、国としての対策並びに徴税業務に努力している自治体に対する支援の必要性を提言。大臣からは「大賛成である。厳しい状況の中、徴収努力をしている自治体にインセンティブを与えるのは当然だ」と理解ある回答を得た。
●『退職手当債』に一抹の危惧…
「公務員の大量退職の問題」について質問。
「大量の地方公務員退職に対する『退職手当債』の発行には疑問を感じる。職員の年齢構成は分かっているのだから、ある程度準備できたはずだ」との主張に対し、「退職手当の支給に備え、積み立てをしてきた自治体もあるが、厳しい財政状況の中で基金を取り崩し、退職手当の余裕がなくなっているのも事実だ。このような状況を踏まえ、総人件費の削減を進めると同時に、『退職手当債』の拡充措置を講じた」と大臣からの回答。
三日月議員の「積み立て準備をしている自治体もある一方で、『退職手当債』の発行を余儀なくされた自治体もある。一定の監視が必要であり、インセンティブの部分で差別化を図るべき」との主張に対しては、「『退職手当債』の発行条件により、しっかりと対応していく」と回答。
今年度許可の「退職手当債」の発行額については、34道府県分1,860億円、122市町村分として650億円で合計2,510億円、来年度については全体で5,900億円の発行額が見込まれていることが明らかとなる。
「退職手当債」の発行については、前提として公務員の年齢構成や給与額等の情報開示が重要と指摘。国からの総務事務次官通達「地方公共団体における職員給与等の公表」について、「まだまだ分かりにくい公表となっている現状を確認して、是正すべき」と主張した。
最後に、地方公務員の大量退職を控えて、政府の人材戦略について質す。
「住民のニーズは複雑化し、さまざまな要望に対応できる人材が自治体の発展には不可欠。優秀な人材が活躍できる仕組みをつくるために、総務省として側面から支援していく」との大臣からの回答を得て、質問を終えた。
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