●実効ある供給過剰対策を!
温暖化や高齢化が進む日本で、地域の公共交通を考える時、ドア・ツー・ドアで運べるタクシーの役割は一層高まる。地域の中で、タクシーという公共交通機関が、適正化され、活性化していく環境を作らなければならない。」と、野党案提出の経緯を改めて説明。冒頭には、大臣の問題認識の変化を伺う。
「運賃・料金に対する法改正が不可避」との野党提出法案についての考え方を問い、「(適正原価に適正利潤を加えた)野党案衆法は、一つの参考であると考えている。実効性が上がるものでなければ意味がない。与野党協議の結果、法案修正が行われたら、国交省としてもしっかり対応する。」との前向きな答弁がなされた。
さらに、特定地域において、供給過剰是正のために実施される事業再構築(供給輸送力の減少)に、「減車」だけでなく「休車」の措置を加えるべき、との野党案に対する見解を問い、自交局長から「国土交通省令で(事業再構築の一例として)規定する方向で検討してまいりたい。」との確約を得た。
●厳しい労働実態を正せ!
悪貨が良貨を駆逐する状態を改善せよ!
公正取引委員会に対しては、特措法12条において、(国土交通大臣から送付を受けた共同事業再構築にかかる事項が記載されている特定事業計画について、「述べることができる」と規定される『意見』の観点を確認。
公取から、「タクシー事業者による共同事業再構築が独禁法の枠内で、事業者間の競争を制限することがないように行われ、その結果、消費者や事業者の利益になるということが重要。かかる観点から各地域の実情を踏まえつつ、必要に応じて述べる。」との見解が示された。
全自動車事故と比して、走行キロ当たりで約1.8倍となっているタクシー事故。悪質事業者の市場からの退出を促すためにも、事故報告の速報性の確保と、対象拡大についても、「国土交通省令で拡充する」との答弁。
厚労省からは、労働時間等の監督指導件数712件(H19)のうち、労働基準関係法令違反が611件、改善基準告示違反が384件、(通達で禁止されている)累進歩合制度の指導件数は80件。ハイヤー・タクシー業における最低賃金法違反は17.3%という、厳しく、かつ法律違反が横行している労働実態が報告された。
国交省に対し、「悪貨が良貨を駆逐する状況を改善すべきだ!」との指摘に、「様々な要因が複合的に絡んで発生している。こうした事態は改善する必要がある。利用者のニーズにあったサービスの提供、悪質事業者等への対策、過度な運賃競争への対策、供給過剰進行地域における対策等、総合的に実施していく。」との答弁。
また、「個人タクシー」の位置づけについては、「本来、優良・優秀な運転者。自覚を持って対応してほしい。特定の時間帯のみの営業や居酒屋タクシー問題など、多くの問題を抱えているのも事実。公共交通機関としての役割を果たすという意味で、事業者団体の主体的な取り組みを促しながら、是正を図っていく必要がある。」との認識を受ける。
修正提案項目の1つである運転者登録制度の拡大及び資格制度の検討の必要性については、国交省から「今回の制度改正の成果を見ながら、前向きに、必要な検討を行う。」との言質を得て、質問を終えた。
尚、与野党協議の結果、野党案を大幅に取り入れるという形で修正合意に達する。10日に委員会で採決、11日に衆議院本会議で可決・通過した。(参議院での審議・議決を経て19日に可決・成立する予定。)
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