●タクシー運転者の労働条件の改善が必要!そのために…
委員会終盤、民主党の鷲尾英一郎議員からの1つの質問「運賃・料金の認可基準を改正することにより、タクシー運転者の賃金は確保されるのか?」に答える。
まず、平成11年の「三菱タクシー訴訟」の最高裁判決を引き合いに、同一地域内では「能率的な経営の下における適正な原価(7割が人件費)」は、各事業者にとってほぼ同一になる。すなわち、同一地域内では、その適正な原価に適正な利潤を加えたものとして算定される【運賃】が、ほぼ同一のものとして認可することが是認されていることを紹介。
その上で、タクシー運転者の労働条件の現状をデータで示しながら、「年間労働時間は、全産業に比べて192時間多い。一方、賃金は325万円で、全産業の労働者に比べて225万円少ない(いずれも平成20年度)。200万円以下の賃金となっている県もあり、最低賃金法の違反は17%を超えている(全産業では2%)。」と、看過できない問題点を指摘。
「法令遵守、安全確保という観点からも、タクシー運転者の賃金の改善は必要。そのためには歩合制賃金などの構造的問題の是正、労働基準監督署等の強力な指導も必要だが、まず第一歩として、道路運送法第9条の3(運賃の許可基準)の改正を提案した。現行の上限認可制を改め、運賃・料金が『適正な人件費を反映した適正原価に適正利潤を加えたもの』について認可する制度に変える。それは、運賃認可に、下限を設定する効果をもたらすことになる。」と答弁。
さらに「地域の公共交通機関として、タクシーの安全性を確保するため、適正な人件費(賃金)が確保されることは極めて重要。」と、適正な運賃水準が定められるようにするための法改正であることを強調した。
次回委員会では、タクシー業界労使の代表、学識経験者等を参考人として招致しての審議が行われる予定。
2002年の改正道路運送法施行により行われたタクシー政策の規制緩和による問題点を改善すべく、政府案と野党案が並べて審議されている。答弁する金子大臣からも、質問する与党議員からも、悪質事業者対策、運賃問題の解決、運転者の労働条件の向上など、野党提出の法案に盛り込まれる対策の必要性への理解が深まってきた。
より良いルールの構築のための修正協議も大詰め。
利用者や運転者の視点からの諸問題の解決に向け、全力を尽くしていく…。
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