湖北短期居住3日目。
この日は長浜市内にて、地域で大切に受け継がれてきた産業、文化等の現場を視察させていただきました。
まずは早朝、長浜市西浅井町の大浦漁港を出発し、アユのエリ漁を視察。
琵琶湖の主要な水産資源であるアユは、昨シーズンにこれまでにない不漁に見舞われ、今シーズンも平年に比べると少ない状況が続いています。漁師の皆さんから琵琶湖の変化について様々な声を聞かせていただきました。
水揚げされたアユの仔魚“氷魚(ヒウオ)”は大変美しく、あらためて琵琶湖の恵みに感謝をいたしました。国の研究機関とも連携しながら引き続き原因の究明に努め、アユ資源の回復に向けて取り組んでまいりたいと思います。
続いて、長浜市冨田町にて、第49回「こんにちは!三日月です」として、冨田人形共遊団の皆様と意見交換を行いました。
百数十年の伝統を誇る人形浄瑠璃「冨田人形」の保存・継承に取り組まれている冨田人形共遊団では、後継者の育成に加えて、海外からの留学生の体験受入れや海外公演など国際交流にも熱心に取り組まれています。人形一体を三人で操る人形遣いを私も体験させていただき、その奥深さを実感いたしました。
共遊団の皆さんからは、地域で脈々と受け継がれてきた「冨田人形」を次の世代にしっかりとつなげていきたいという熱い思いを聞かせていただきました。私もその魅力を国内外にしっかりと発信してまいりたいと思います。
午後からは、長浜市木之本町の丸三ハシモト株式会社を訪問し、県の伝統的工芸品に指定されている和楽器糸の生産現場を視察。
良質な生糸産地である木之本町にて百年以上前に創業された丸三ハシモト株式会社は、琴や三味線をはじめとする楽器糸を現在も伝統工法で製造されています。私も独楽をまわして糸を撚る「独楽撚り」という工程を体験させていただきました。伝統工法から生み出される上質な楽器糸は国内外で高く評価されており、現在は中国の伝統楽器「古琴(こきん)」に使用する糸としても需要があるとお聞きし、滋賀県が誇る伝統工芸としてその可能性を大いに感じました。
その後、自伐型林業に取り組む長浜市の地域おこし協力隊の東 逸平さん、谷川 友太さんと意見交換を行う。
初期投資が少なく参入のハードルが低い自伐型林業は持続可能な森林経営として、全国的にも注目されている新たなビジネスモデルです。
東さんらは昨年9月に「木民(もくたみ)」という事業組合を立ち上げ、樹木の伐採だけでなく薪の販売や森林整備などを行い、定住に向けて収益の確保に取り組まれています。
お話をうかがい、移住してこられた方々が長浜市の豊富な森林資源の活用に積極的に取り組まれていることを大変うれしく、心強く感じました。豊かな琵琶湖を次の世代に引き継いでいくためには、山を守り、山を活かす取組が重要です。地域の林業の担い手として「木民」の皆さんがますます活躍いただくことを期待し、今後も応援していきたいとお伝えしました。